マイナンバーは、法律改正を前提に、さまざまな分野での利用拡大が検討されています。
それぞれの分野について、内容及び影響についてみていきます。
医療分野
≪ メリット ≫
〇 多くのデータが集積できることにより、そのデータの分析に基づいて、よりよい手法の
開発につながる
≪ デメリット ≫
〇 本人が望まない利用・活用がおこなわれる恐れ(保険会社が入手し、保険申し込みの際の
審査に利用・就職希望者の病歴を入手し採用に影響 など)
上記のような心配点があるため、プライバシーを守ることを最優先に考える必要があります。
そのため、医療分野そのものではマイナンバーを利用せず、医療分野専門の番号「医療等ID」
を使う方法で検討されています。
また、当初は、予防接種や健康診断の情報などそれほどプライバシーに影響がなく、弊害の
少ない分野から利用が開始されるようです。
金融分野
≪ メリット ≫
〇 公平・公正な負担の維持と適正な社会保障の提供
〇 不正な金融取引の防止
≪ デメリット ≫
〇 すべての金融商品にマイナンバーを紐づけする必要があり、時間を要する
〇 金融機関・国民の協力が必要
限られた財源の中で、真に手を差し伸べるべき人に社会保障を提供するためには、その人の
状況を把握する必要があります。また、犯罪(詐欺など)に利用される口座の不正入手を
防ぐことができるようになります。
「個々人のプライバシーや資産の保全に十分配慮しての対応」の上、利用することに
なります。
行政サービス
≪ メリット ≫
〇 縦割り行政の不便の解消
≪ デメリット ≫
〇 各行政機関や自治体のルールを変えることからスタートすることになり、早期実現が
不透明
マイナンバー制度は、国民及び民間企業が事務の負担をしなければならない制度です。
事務の負担をしても納得できるような制度にするために、行政側は事務の効率化に向けて
努力することが求められます。また、行政サービスでマイナンバーが利用できるように
なった時に、網羅的かつ早期に実現することが、今後マイナンバーの仕組みが普及するか
どうかの分かれ目になるかもしれません。
まとめ
マイナンバーの利用範囲の拡大は、マイナンバーに紐づけされる情報の増大となり
ます。そのことで利便性が高まることは当然ですが、それと比例してマイナンバーが
持つリスクの大きさも増大することになります。
そのリスク回避のためにも、当初は影響の少ない分野から利用を開始し徐々に利用範囲
を広げていく方法で進めていくことが重要です。