個人番号関係事務は、他の事業者に委託をすることができます。
委託をする場合には、委託先に対して、以下のような「必要且つ適切な監督」を行わなければなりません。
◎委託先の適切な選定
◎委託先に安全管理措置を遵守させるための契約の締結
◎委託先におけるマイナンバー(個人番号)の取り扱い状況の把握
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個人番号関係事務を委託する場合にはどのような措置を講じなければならないの?
では、委託先が個人番号関係事務の再委託をしたいという場合、再委託は認められるのでしょうか?
そこで今回は、個人番号関係事務の再委託についてご説明していきたいと思います。
解説ポイント
個人番号関係事務の再委託
【個人番号関係事務の再委託は認められるの?】
番号法第10条第1項では、以下のように定められています。
個人番号関係事務の受託者は、委託者の許諾を得た場合に限り、受託している個人番号関係事務の全部又は一部を再委託することができる
つまり、委託者は、個人番号関係事務の再委託を認めることができます。
【委託契約締結の時点で予め再委託の許諾をしておくことはできるの?】
上記でもご説明しましたが、個人番号関係事務に受託者は、委託者の許諾を得た場合に限って、再委託を行うことができます。(番号法第10条第1項)
委託者が、「再委託先が十分に安全管理措置を講じることができる適切な業者であるかどうか」を確認する必要があるため、委託者の許諾が必要となっています。
つまり、再委託の時点で委託者による許諾が行われることが原則です。
一方で、委託契約を締結する時点で再委託先となる業者が特定されている場合には、以下の条件を満たしていれば、再委託の許諾を予め行うことができると解されています。
①再委託先の業者が、安全管理措置を講じることができる十分な能力があると確認できていること
②実際に再委託が行われた際には、委託者に対してその旨の報告をし、再委託の状況について委託者に定期的に報告するという合意がなされていること
【再委託先に対する監督は委託先に任せてもいいの?】
事業者が個人番号関係事務を委託する場合には、「委託を受けた者」に対して「必要且つ適切な監督」を行う必要があります。
この「委託を受けた者」とは、委託者から直接受託をした事業者を指します。
では、委託者→A社→B社→C社というように順次委託がなされた場合はどうでしょう。
このような場合では、委託者が行わなければならない「必要且つ適切な監督」の内容に、「委託先A社が再委託先B社に対して必要且つ適切な監督を行っているかどうか」の監督も含まれるのです。
また、委託先A社についても、再委託先B社が再々委託先C社に対して必要且つ適切な監督を行っているかどうかを監督する必要があります。
したがって、委託者は、委託先A社に対する直接の監督義務を負うだけではなく、委託先A社及び再委託先B社が行っている監督状況の監督義務も負います。(再委託B社、再々委託先C社に対して間接的な監督義務があるため)
【まとめ】
ここまで、個人番号関係事務の再委託について見てきました。
再委託は、委託者の許諾がある場合に限って行うことができ、委託者には、再委託先に対する監督義務もあることが分かりました。
少し難しかったかもしれませんが、しっかり理解しておくようにしましょう。