マイナンバー(個人番号)は、継続的に利用する必要がある限りは保管しておくことができます。
では、退職者のマイナンバー(個人番号)を保管しておくことはできるのでしょうか。
その他、海外赴任の従業員や出向者・転籍者のマイナンバー(個人番号)の保管についてもご説明していきます。
【退職者のマイナンバー(個人番号)を保管しておくことはできるの?】
通常であれば、退職者のマイナンバー(個人番号)は、不要になると考えられます。
しかし、退職後に賞与が繰延支給されることがあります。
賞与は、給与所得に該当するため、源泉徴収票を作成することが必要です。
このような場合には、繰延支給が行われなくなることを確認するまで、マイナンバー(個人番号)を保管できるとされています。
また、以下のような場合には、事業者は、改めてマイナンバー(個人番号)を取得しなくても良いとされています。
◎従業員を定年退職後にそのまま再雇用した場合
◎マイナンバー(個人番号)が記載されている書類の法令上の保存期間内に再雇用した場合
【海外赴任をする従業員のマイナンバー(個人番号)を保管しておくことはできるの?海外から赴任した外国人従業員のマイナンバー(個人番号)を取得・保管することはできるの?】
一度マイナンバー(個人番号)が付与されると、国外へ転出した後に再び日本に入国した場合でも、転出前と同じマイナンバー(個人番号)を使用することになります。
したがって、従業員が海外赴任をする場合には、前回ご説明しました休職者の場合と同じように、雇用契約は継続していることから、マイナンバー(個人番号)を保管し続けることができるとされています。
一方、外国人の場合でも、日本国内に住民票を有していれば、マイナンバー(個人番号)が付与されます。
事業者は、海外から赴任した外国人従業員の源泉徴収票を作成するなどの個人番号関係事務を行う必要があるため、マイナンバー(個人番号)を取得し、保管することができます。
【出向者や転籍者のマイナンバー(個人番号)を保管し続けることはできるの?】
出向者は、出向元と雇用契約を維持しつつ、出向先とも雇用契約を結び、業務に従事するものとされています。
つまり、出向元・出向先の両方の雇用契約が継続していることから、出向元は、出向者のマイナンバー(個人番号)を保管し続けることができると解されます。
転籍者の場合には、転籍元との雇用契約は終了し、転籍先と雇用契約を結んでいます。
したがって、通常は、個人番号関係事務処理の必要がないので、転籍元に法令上の保管義務がなければ、転籍者のマイナンバー(個人番号)は廃棄することになります。
【出向者・転籍者のマイナンバー(個人番号)を出向先・転籍先の事業者に提供できる?】
出向者や転籍者のマイナンバー(個人番号)を出向先・転籍先の事業者に提供することは、番号法第19条で認められていないため、行うことはできません。
出向先・転籍先は、個人番号関係事務を行う必要がある場合には、本人から直接提供を受けなければなりません。
なお、従業員の出向元・転籍元の事業者が、出向先・転籍先の事業者と委託契約又は代理契約を交わした上で個人番号関係事務の一部を受託し、出向者・転籍者からマイナンバー(個人番号)の提供を受け、本人確認を行うとされている場合には、出向元・転籍元の事業者が改めて本人確認を行い、出向先・転籍先の事業者にマイナンバー(個人番号)を提供することが認められています。
【吸収合併よって消滅する会社が保管しているマイナンバー(個人番号)を収集することはできるの?】
合併その他の事由のよって事業の継承を行う場合、番号法第19条第5号・第20条によって、マイナンバー(個人番号)の収集が認められています。
【まとめ】
ここまで、「退職者のマイナンバー(個人番号)を保管しておくことはできるのか」などを見てきました。
退職者のマイナンバー(個人番号)については、繰延支給がなくなることが確認されるまで、マイナンバー(個人番号)を保管し続けることができることが分かりました。
「どのような場合には保管をすることができるのか」をきちんと理解しておく必要があります。