マイナンバー(個人番号)は、厚生年金保険に関する様々な書類に記載されます。
そこで今回は、70歳以上の従業員を採用したとき、又は、従業員が70歳になったときの手続きで使用する「被保険者資格喪失届」「70歳以上被用者該当届・70歳以上被用者不該当届」「厚生年金保険70歳以上被用者算定基礎届・月額変更届・賞与支払届」についてご説明していきたいと思います。
解説ポイント
被保険者資格喪失届
70歳以上被用者該当届・70歳以上被用者不該当届
厚生年金保険70歳以上被用者算定基礎届・月額変更届・賞与支払届
【被保険者資格喪失届でマイナンバー(個人番号)が必要となる場合とは?】
従業員は、在職したまま70歳に達すると、厚生年金保険の被保険者資格を喪失します。
そのため、事業主は、被保険者資格の喪失日(70歳の誕生日の前日)から5日以内に、「被保険者資格喪失届」を所管の年金事務所又は日本年金機構の事務センターに提出します。
この手続きで使用する被保険者資格喪失届は、従業員が退職・死亡したときに提出する被保険者資格喪失届と共用の様式となっています。
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被保険者資格取得届・被保険者資格喪失届でマイナンバー(個人番号)が必要となる場合とは?
被保険者資格喪失届には、マイナンバー(個人番号)を記載する欄が設けられています。
事業主が、採用時に予め利用目的を通知して取得したマイナンバー(個人番号)を記載した上で、提出をすることになります。
【70歳以上被用者該当届・70歳以上被用者非該当届でマイナンバー(個人番号)が必要となる場合とは?】
平成19年4月1日以降、厚生年金保険法第27条に規定されている70歳以上の被用者についても、60歳代後半の在職老齢年金制度が適用されることとなりました。
年金を受けられる人が60歳以降も働いている場合に、年金の一部又は全額の支給が停止される制度です。
<60歳以上65歳未満の在職老齢年金制度>
60歳以上65歳未満の人が、厚生年金保険に加入をしながら老齢厚生年金を受け取る場合には、基本月額と総報酬月額相当額に応じて、年金額の一部又は全額の支給が停止されます。
<65歳以上の在職老齢年金制度>
65歳以上で、厚生年金保険に加入をしながら老齢厚生年金を受け取る人(70歳以上の在職者も含む)は、65歳未満の人とは別の在職老齢年金の仕組みによって、年金額の一部又は全額の支給が停止されます。
※70歳以上の在職者については、厚生年金保険の被保険者資格を喪失しているため、厚生年金保険料の負担はありません。
○70歳以上であって、厚生年金保険の適用事業所に新たに使用される人
○被保険者が70歳に達した後も継続して使用される場合で、以下の要件に該当する人
・70歳以上の人
・過去に厚生年金保険の被保険者期間を有する人
・厚生年金保険法第27条に規定されている適用事業所に使用される人であって、且つ、
同法第12条各号に定められている者に該当しない人
従業員が上記の70歳以上被用者の要件に該当したとき、又は、該当しなくなったときには、事業主は、事実が発生したときから5日以内に、「70歳以上被用者該当届」又は「70歳以上被用者不該当届」を所管の年金事務所あるいは日本年金機構の事務センターに提出します。
つまり、在職している従業員が70歳に達し、70歳以上被用者に該当する場合や、70歳以上被用者に該当する人を新たに採用した場合には「70歳以上被用者該当届」を、70歳以上被用者が退職などによって被用者ではなくなった場合には「70歳以上被用者不該当届」を提出することになります。
70歳以上被用者該当届については、被保険者資格取得届と、また、70歳以上被用者不該当届については、被保険者資格喪失届と共用の様式となり、それぞれマイナンバー(個人番号)を記載する欄が設けられています。
【厚生年金保険70歳以上被用者算定基礎届・月額変更届・賞与支払届でマイナンバー(個人番号)が必要となる場合とは?】
事業主は、70歳以降も厚生年金を受け取りながら働き、在職老齢年金制度の適用を受ける70歳以上被用者について、事業者は、定時決定を行うときには「70歳以上被用者算定基礎届」を、随時改定に該当したときには「70歳以上被用者月額変更届」を、賞与を支払ったときには「70歳以上被用者賞与支払届」を所管の年金事務所又は日本年金機構の事務センターに提出します。
☆70歳以上被用者算定基礎届⇒毎年7月10日まで(年によって前後する場合あり)
☆70歳以上被用者月額変更届⇒速やかに
☆70歳以上被用者賞与支払届⇒賞与を支払った日から5日以内
そして、70歳以上被用者算定基礎届・70歳以上被用者月額変更届・70歳以上被用者賞与支払届は、それぞれ、被保険者報酬月額算定基礎届・被保険者法報酬月額変更届・被保険者賞与支払届と共用の様式となっています。
また、マイナンバー(個人番号)を記載する欄が設けられています。
【まとめ】
ここまで、被保険者資格喪失届、70歳以上被用者該当届・70歳以上被用者不該当届、厚生年金保険70歳以上被用者算定基礎届・月額変更届・賞与支払届について見てきました。
マイナンバー(個人番号)の記載欄が設けられているため、採用時に予め利用目的を通知して取得したマイナンバー(個人番号)を、事業主が記載した上で提出することになります。
少し難しいですが、しっかり理解しておきましょう。