番号法16条で、マイナンバーを収集・取得する際には本人確認の措置をとることが規定されています。
ここではこの本人確認について詳しくみていきましょう。
マイナンバーで本人確認がなぜ必要なのか
マイナンバーにおいて本人確認が必要とされているのは、以下の2点の理由からです。
①番号確認のため
②身元確認のため
「番号確認」とは、取得したマイナンバーに誤りがないかを通知カードや個人番号カードなどで確認することです。
「身元確認」とは、マイナンバーを利用した他人のなりすましによる不正行為などを防ぐため、取得したマイナンバーによって特定される個人とそれを提供した個人が一致しているかを確認することです。
また、マイナンバーを保有している本人から直接提供をうける場合ときと、代理人から間接的に提供をうける場合とで必要な措置が異なります。
通知カードと個人番号カードの違い
マイナンバー制度には、「通知カード」と「個人番号カード」という2種類のカードがあります。
「通知カード」とは、特に申請などの手続きをしなくても市区町村から送られてくるカードで、氏名、住所、生年月日、性別(これらを基本4情報といいます)とマイナンバーが記載されています。
「個人番号カード」は、市区町村へ申請することで通知カードと引き換えに交付されるカードで、通知カードの情報に加えて本人の顔写真が表示されます。
さらにICチップが内蔵されていて、そこにも情報が記録されています。
個人番号カードは顔写真が表示されているため、以下のようなメリットがあります。
・身分証明書として利用できる
・マイナンバーを確認する場面で番号法上義務付けられている本人確認に利用できる(就職・転職・出産育児・病気・年金受給・災害etc)
・行政機関や市区町村などによる付加サービスに利用できる
・電子証明書による民間部門を含めた電子申請、取引に利用できる
マイナンバーの本人確認の方法とは
本人確認の方法は提供される方法が「対面」「郵送」「電話」「オンライン」のそれぞれで異なり、また提供するのが「本人」か「代理人」かによっても異なります。
本人からマイナンバーを取得する場合
本人から対面または郵送でマイナンバーの提供をうける場合、本人確認のやり方としては次のいずれかの書類の提示または郵送を受ける方法があります(番号法16条)。
・個人番号カード
・通知カード + 本人の身元確認書類
・番号確認書類 + 本人の身元確認書類
郵送で受けとる場合は書類のコピー(写し)でOKです。
本人の身元確認書類とは
本人の身元確認書類には、、運転免許証、運転経歴証明書、パスポート、身体障害者手帳、在留カード、特別永住者証明書等の本人の顔写真が表示された身分証明書などがあります。
番号確認書類とは
番号確認書類には、氏名、住所、生年月日、性別の基本4情報と個人番号が記載された住民票の写し又は住民票記載事項証明書などがあります。
従業員(社員)からマイナンバーを取得する際も本人確認が必要
自社の社員からマイナンバーを取得するときにも本人確認は必要です。
この場合の本人確認の方法について、「個人番号カード」の提示によっておこなう場合は身元確認が同時にできるので問題ありません。
しかし、「通知カード」や「番号確認書類」の提示によってマイナンバーの取得をおこなう場合に、番号確認にくわえて本人の身元確認書類の確認をおこなう必要があるか、疑問におもう方も多いと思います。
この点について、番号法施行規則第3条第5項では、雇用関係その他の事情を考慮して、「通知カード」や「番号確認書類」に記載されている人物と提示した人が同一人物であると個人番号利用事務実施者が認めるときには身元確認書類の確認は不要だと解されています。
本人確認の頻度
マイナンバーの取得(提供をうける)場合、原則的にはその都度本人確認をする必要があります。たとえば扶養控除等申告書にマイナンバーを記載してもらう場合には毎回本人確認をする必要があります。
しかし、毎年通知カードや本人確認書類などを従業員に持ってきてもらうのは合理的ではありません。そのため、2回目以降の番号確認は初回に本人確認を行って取得したマイナンバーの記録と照合する方法でもよいとされています。
電話やオンライン(インターネット)でマイナンバーを取得(提供をうける)場合
オンラインでマイナンバーの取得をする場合の本人確認の方法には、個人番号カードに内蔵されているICチップの読み取りや、電子署名等とともにする個人番号(通知カードの写しをPDFファイルにしたもの等)の送信などがあります。
また、過去に作成したマイナンバーファイルがある場合、そのファイルに記録されているマイナンバーその他の事項を確認するために電話でマイナンバーの提供をうけることができます。
この場合、そのファイルをつかって番号確認を行い、例えば基礎年金番号のような固有の番号や、本人しか知り得ない事項の申告により身元確認を行うことなどが認められます。
代理人からマイナンバーを取得する場合
番号法19条で、本人が代理人を通して会社などにマイナンバーの提供をすることが認められています。
その場合、以下の確認が必要になります。
「本人の番号確認」+「代理権の確認」+「代理人の身元確認」
本人からマイナンバーを取得する場合の「本人の身元確認」のかわりに「代理権の確認」と「代理人の身元確認」が必要です。
代理権の確認書類とは
代理権の確認書類は、法定代理人の場合は戸籍謄本など、任意代理人の場合は委任状等が挙げられます(番号法施行規則6①)。法定代理人とは、未成年の親権者など本人の委任に基づかず法律によって代理権を有している者、任意代理人とは、本人の委任に基づいて代理権を有している者のことです。
代理人の身元確認書類とは
代理人の身元確認書類は、代理人の個人番号カード、運転免許証、パスポートなどがあります。