マイナンバー(個人番号)は、税務分野に関する様々な書類に記載されます。
今回は、事業者が取り扱うことの多い法定調書関係の内の「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」についてご説明していきたいと思います。
解説ポイント
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
【報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書でマイナンバー(個人番号)が必要となる場合とは?】
所得税法第204条第1項各号(外交員報酬、税理士報酬など)や所得税法第174条第10号、租税特別措置法第41条の20に規定されている報酬、料金、契約金及び賞金の支払をする場合には、支払者(源泉徴収の義務者ではない個人は除く)は、源泉徴収をしなければなりません。
その際に、支払う金額が一定の額を超えると、支払者は、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を作成し、税務署に提出することになっています。
具体的には、弁護士や税理士などに支払う報酬や作家に支払う原稿料、講演料などについて、同じ者の対するその年の支払金額の合計が5万円を超えた場合に支払調書を作成します。
「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」には、以下のようなマイナンバー(個人番号)に関する欄が設けられており、支払者は、これらを記載した上で税務署に提出します。
○支払者のマイナンバー(個人番号)又は法人番号
○支払いを受ける者のマイナンバー(個人番号)又は法人番号
なお、支払者が支払いを受ける者に対して、支払調書の写しを交付することがあります。
しかし、これは、支払いを受ける者の便宜を図る目的で行われる任意の交付であり、番号法で定められている利用範囲には含まれません。
そのため、支払者及び支払いを受ける者のマイナンバー(個人番号)を記載することはできません。
【どのような場合に取引先からマイナンバー(個人番号)を取得することができるの?】
取引先からマイナンバー(個人番号)を取得する場合も、従業員からマイナンバー(個人番号)を取得する場合と同じように行います。
[取得する際のポイント]
○マイナンバー(個人番号)の提供を求める場合は、原則、個人番号関係事務が発生した時点 で行う
○本人との法律関係などに基づいて個人番号関係事務の発生が予想される場合には、当該事務の発生が予想できた時点(契約を締結した時点など)でマイナンバー(個人番号)の提供を求めることが可能である
○契約内容などから個人番号関係事務が明らかに発生しないと求められる場合には、マイナンバー(個人番号)の提供を求めてはいけない
従って、契約によって発生する報酬が源泉徴収の必要な「報酬、料金、契約金及び賞金」であるとき、支払者が源泉徴収義務者で、支払調書の作成が必要となる金額を超える報酬額であると見込まれる場合には、取引先に対し、契約の締結時点でマイナンバー(個人番号)の提供を求めることができると考えられます。
一方で、支払調書の作成が必要となる金額を超えない報酬額であることが明らかな場合には、マイナンバー(個人番号)の提供を求めることはできません。
但し、年の途中に契約を締結したことから、その年は支払調書の提出が必要なくても、翌年は支払調書の提出が必要となる場合は、翌年の支払調書作成・提出事務のために、契約を締結した時点で、取引先に対してマイナンバー(個人番号)の提供を求めることができると解されています。
【まとめ】
ここまで、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」について見てきました。
「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」には、支払者と支払いを受ける者のマイナンバー(個人番号)又は法人番号を記載する欄が設けられていることが分かりました。
支払いを受ける者に対して支払調書の写しを交付する場合には、マイナンバー(個人番号)を記載してはいけないことに注意が必要です。