マイナンバー(個人番号)は、厚生年金保険に関する様々な書類に記載されることになっています。
そこで今回は、「被保険者報酬月額算定基礎届」「被保険者報酬月額変更届」「産前産後休業終了時報酬月額変更届」「育児休業等終了時報酬月額変更届」についてご説明していきたいと思います。
解説ポイント
被保険者報酬月額算定基礎届
被保険者報酬月額変更届
産前産後休業終了時報酬月額変更届
育児休業等終了時報酬月額変更届
【従業員の報酬月額の届出・変更などを行うときの手続きおいてマイナンバー(個人番号)が必要となる場合とは?】
従業員の報酬月額の届出や変更などを行うときの手続きで使用する書類には、以下の4つがあります。
[被保険者報酬月額算定基礎届]
事業主は、毎年1回(年によって前後することはありますが、7月10日まで)、7月1日時点で使用している被保険者の3ヵ月間(4・5・6月)の報酬月額について記載した「被保険者報酬月額算定基礎届」を、所管の年金事務所又は日本年金機構の事務センターに提出します。
そして、提出された被保険者報酬月額算定基礎届に基づいて、「標準報酬月額」が決め直されます。(定時決定)
被保険者報酬月額算定基礎届では、マイナンバー(個人番号)を記載する欄が設けられていますが、記載が必要となるのは、70歳以上の者に限られます。
[被保険者報酬月額変更届]
被保険者の報酬が昇給や降給などによって大幅に変動した場合、事業主は、「被保険者報酬月額変更届」を、所管の年金事務所又は日本年金機構の事務センターに提出します。
そして、提出された被保険者報酬月額変更届に基づいて、毎年1回行われる定時決定を待たずに、標準報酬月額が改定されます。(随時改定)
随時改定は、以下の条件全てを満たした場合に行われます。
①固定的賃金(残業代などの非固定的賃金ではない)に変動があること
②継続した3ヵ月間に支払われた報酬月額を3(ヵ月)で割った額の標準報酬月額を従前のものと比べてみて、2等級以上の差が生じていること
被保険者報酬月額変更届には、マイナンバー(個人番号)を記載する欄が設けられていますが、記載が必要となるのは、70歳以上の者に限られます。
[産前産後休業終了時報酬月額変更届]
産前産後休業終了日に当該産前産後休業に係る子を養育している被保険者については、以下の条件を満たす場合、随時改定に該当をしなくても、産前産後休業終了日の翌日が属する月以後の3ヵ月間に受けた報酬の平均額に基づいて、4ヵ月目の標準報酬月額から改定をすることができます。
○これまでの標準報酬月額と改定後の標準報酬月額との間に1等級以上の差が生じていること
産前産後休業終了日の翌日が属する月以後の3ヵ月(支払基礎日数が17日未満の月は除く)の報酬の平均額に基づいて算出します。
○産前産後休業終了日の翌月が属する月以後の3ヵ月のうち、少なくとも1ヵ月における支払基礎日数が17日以上であること
※3ヵ月のいずれも17日未満の短時間労働者(パート)の支払基礎日数については、そのうち15日以上17日未満の月の報酬月額の平均で算定します。
産前産後休業終了日に当該産前産後休業に係る子を養育している被保険者から申出書の提出を受けた場合、事業主は、速やかに「産前産後休業終了時報酬月額変更届」を所管の年金事務所又は日本年金機構の事務センターに提出します。
産前産後休業終了時報酬月額変更届には、マイナンバー(個人番号)を記載する欄が設けられています。
記載するマイナンバー(個人番号)は、採用時に予め利用目的を通知した上で取得したものを利用します。
[育児休業等終了時報酬月額変更届]
育児・介護休業法による満3歳未満の子を養育するための育児休業等(育児休業及び育児休業に準する休業)終了日に3歳未満の子を養育している被保険者については、以下の条件を満たす場合、随時改定に該当をしなくても、育児休業終了日の翌日が属する月以後の3ヵ月間に受けた報酬の平均額に基づいて、4ヵ月目の標準報酬月額から改定をすることができます。
○これまでの標準報酬月額を改定後の標準報酬月額との間に1等級以上の差が生じること
育児休業終了日の翌日が属する月以後の3ヵ月(支払基礎日数が17日未満の月は除く)の報酬の平均額に基づいて算出します。
○育児休業終了日の翌日が属する月以後の3ヵ月のうち、少なくとも1ヵ月における支払基礎日数が17日以上であること
※3ヵ月のいずれも17日未満の短時間労働者(パート)の支払基礎日数は、そのうち15日以上17日未満の月の報酬月額の平均によって算定します。
育児休業時に3歳未満の子を養育している被保険者から申し出を受けた場合、事業主は、速やかに「育児休業等終了時報酬月額変更届」を所管の年金事務所又は日本年金機構の事務センターに提出します。
育児休業等終了時報酬月額変更届には、マイナンバー(個人番号)を記載する欄が設けられています。
採用時に予め利用目的を通知した上で取得したマイナンバー(個人番号)を利用します。
【まとめ】
ここまで、被保険者報酬月額算定基礎届、被保険者報酬月額変更届、産前産後休業終了時報酬月額変更届、育児休業等終了時報酬月額変更届について見てきました。
マイナンバー(個人番号)を記載する欄が設けられていますが、70歳以上の者に限り記載することになっている書類もあることに注意が必要です。
それぞれの書類について、しっかり理解しておきましょう。